10分で学ぶダスプレトサウルス
なかなか化石が出ないダスプレトサウルスとは何者?
「恐ろしいトカゲ」
という名を与えられたこの恐竜は、あのティラノサウルスに最も近い特徴をもった恐竜だと言われています。実際、ダスプレトサウルスの時代が終わるころにティラノサウルスが登場していることから、直近の祖先ではないかという説があるくらいです。
- 名前は「恐ろしいトカゲ」の意
- 北西アメリカに生息
- ティラノサウルスが現れる少し前の8千万年前(後期白亜紀)から現れ始めた
- ダスプレトサウルスはティラノサウルスに最も近い種と言われる
- ティラノサウルス科の中でも巨大でがっしりとした体
- ティラノサウルス科の中では、化石が少なく、希少価値が高い
- 太いだけではなく、比較的シャープな歯
- 小さな前肢(ティラノサウルス科の特徴、他の同科恐竜よりさらに短い)
- 当時の環境で食物連鎖の頂点に立つ
- ゴルゴサウルスと共存していた?!
シカゴフィールド博物館のダスプレトサウルス
画像「ダスプレトサウルス」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』。URL: http://ja.wikipedia.org
カナダ、ロイヤル・ティレル古生物博物館のダスプレトサウルス
画像「ダスプレトサウルス」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』。URL: http://ja.wikipedia.org
ダスプレトサウルスはメガサイズ
ダスプレトサウルスは現代の肉食動物とは比較にならないほど大きかった。
- 頭から尾までの長さ8-9m
- 体重は最大で4t
- パワフルでがっしりした骨組み
- 骨組みから筋力が相当強かったと考えられる
画像「ダスプレトサウルス」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』。URL: http://ja.wikipedia.org
ティラノサウルスに比べれば華奢に映るが、相当なマッチョボディの持ち主だったと考えられる。
同じティラノサウルス科であるゴルゴサウルスとの共存共生について
現生では、同程度のサイズのハンターが同地域で共存する例はほとんどありません。その観点から見ると、ダスプレトサウルスの化石が発見される地域、ゴルゴサウルスが発見されるのは疑問です。
この疑問について、研究者は以下のような結論を出しています。
エサが違う
個体数としては多かったと思われるゴルゴサウルスは、弱いハドロサウルスなどを集団(諸説あり)で襲ったのに対して、より頑強で個体数の少ないダスプレトサウルスはより鈍足で防御が堅牢なトリケラトプスを狙ったのではないかというのです。
つまり、両者の体格の違いで、エサが異なるため、争いが起こらず、共存が可能だったという説です。
生息地域が異なる
ダスプレトサウルスの化石はゴルゴサウルスの化石と同じ層で発見されることもありますが、ダスプレトサウルスは南西アメリカで発見され、ゴルゴサウルスは北西アメリカで発見されることが多いのです。
つまり両者は一部の地域では共存し、争いをしていたかもしれないが、他の多くの地域では単独で食物連鎖の頂点にいたという説です。